30
7月

同窓会

先日、久しぶりに母校(高校)の同窓会がありました。

桐朋女子高等学校音楽科(共学)という長い学校名です。実質的には桐朋学園大学の附属なのですが、入学式の時にはっきりと「本校は大学の附属ではありません」と説明がありました。あくまでも経営上は女子高等学校の音楽科ということでしょうか。桐朋は普通科として女子部(仙川)、男子部(国立)があり、音楽部は開校当時から女子部の敷地内の片隅に、間借りするような形でありました。

以前、ブログに書いたことがあるかもしれませんが、私は中学3年の進路を決める段になって初めて音楽高校を視野に入れ、憧れていたピアノの恩師の母校を記念受験するつもりが合格してしまったので、入学してすぐに、小さい頃から桐朋附属「子供のための音楽教室」をはじめ英才教育を受けてきた仲間たちの中で、本当に自分は場違いだと後悔しました。毎週のレッスンに追われ、実技試験に追われる日々で、演奏とは必ず評価の対象となるものであり、点数のつくものであり、音楽を楽しいと思えたことが一度もありませんでした。大学の卒業試験(公開実技)が終わった日は、地面から数センチ浮いて歩いたと思えるくらいの解放感で、いきなり、外の風景に色がついたのをはっきりと覚えています。それまで季節も感じず、モノクロの世界に高校〜大学の7年間いたのだと気づきました。

そんな学生時代でしたが、卒業後の紆余曲折を経て、今の私は音楽をすることが楽しいです。大変さは変わりませんが、レッスンをすることも楽しいし、自分で演奏することも楽しいです。もっとも、楽しいと思えるようになったのは40歳をはるかすぎてからでしたが、大谷選手の言葉を借りれば「ゲームで遊んで楽しいという種類のものではなく、もっと深い意味で楽しい」と思えるようになりました。それは、やっぱり桐朋での7年間があったから。あの時代に、素晴らしい先生方から仲間達と一緒に学んだことが、自分の中で大きな土台となっていて、今では、宝石のようなキラキラした日々だったなと愛おしく振り返ることができます。

同窓会で会った高校の同期は、みんな15歳で出会った頃に戻ったようでした。それでいて、それぞれがそれぞれの形で音楽と関わっていて、若い頃のようにギラギラしたシャープな感じではなく、時と経験を重ね、一山二山超えたゆとりと優しさのある素敵なナイスシニア(?)になっていました。みんなの素敵な笑顔に会えて、元気もたくさんもらえて、また頑張ろうと思える自分がいて、同期っていいなあとつくづく感じました。

校舎はすっかり建て替えられて、在校当時はなかった音楽ホールもできて、今の学生たちの恵まれた環境にも時代を感じました。音大離れが囁かれて久しいですが、母校はずっとずっと長く在ってほしいと心から願います。