09
12月

リトルコスモスvol.33

早いもので、今年ももう12月に入りました。スタジオ入口にクリスマスの飾り付けをすると、ついこの間仕舞ったのにもう飾る時期が来た・・・と月日の過ぎる速さに毎年驚きます。年の瀬に、今年一年の越し方を振り返る季節となりました。
何年か前、高校・大学の同門の集まりの時に、ある先輩が「なんだか毎日毎日、さしたる変化もなく同じような日々を送っています。」と半ば自嘲気味におっしゃったことがありました。その時に恩師がこんなふうにおっしゃいました。「昨日と同じ今日、去年と同じ今年が送れるということは、ある意味幸せなことなのよ。」その時、私も目から鱗が落ちるような思いがしました。特別な何かがなくても、むしろ特別な出来事がなく平穏に同じような日々が送れるといことは、何よりも幸せなことなのかもしれないなと思ったのです。
おかげさまで、スタジオMAWO発表会もさる11月20日に無事に終えることができました。特別なことはできませんが、一年一年を重ねて今年は33回目となりました。
「練習ではもっと弾けたのに」「いつも弾けるところが本番では弾けなかった」「暗譜が飛んでしまった」等々、一度の発表会から得るものは無限です。本当は半年に一度くらいのペースで開催できると、もっともっと生徒様の力になると思うのですが、隔年で開催するお教室もあるくらいですので、1年に一度がいろんな意味で程よいペースなのかもしれません。「いつも弾けたのに本番ではなんでこうなっちゃうんだろう?」学生時代の試験に始まって、数々の本番の舞台から、私も身にしみて数々の悔しい思いをしてまいりました。そうした数々の経験から得たもの、それは「本番のある時は、完璧に弾けたと思えてからが、野球で言うところの[千本ノック]の始まり」です。自分で思うところの完璧な演奏を、もうこれだけ弾けたらいい加減いいじゃない?と思ってから、さらにこれでもかと弾き込みます。例えは悪いですが、嘔吐しそうなくらいの時もあります。大学時代の卒業試験を控えたある時、先述の恩師からこんな言葉をいただきました。「お料理も、手間暇かけてものすごく上手にできたご馳走は、食べるのがちょっと勿体無いでしょう?演奏も本番で弾くのが勿体無いくらいに仕上げないとダメよ。」そこまで仕上げても、本番ではアクシデントがあるもの。いつも通り弾けるということは、良くも悪くもありません。大学の卒業試験前には、練習のしすぎとプレッシャーのせいか、本当に起き抜けに嘔吐したりしました(笑)もちろん生徒様方は、そこまで発表会でご自分を追い詰める必要はないのですが、「本番」というものは、もういいやと思ってからさらにどれくらい頑張れるか・・・に、満足のいく結果がかかっているかもしれません。毎年の発表会では、お一人お一人の一年間の努力を走馬灯のように思い出しながら聴かせていただいております。