THE PARTY vol.11
来週になりましたが、年に一度のシリーズを今年も開催いたします。
今年のゲストはヴァイオリニストの高橋香織さん。大学の同期です。
彼女のヴァイオリンの大ファンとして、今回共演できることが本当に幸せです。
音大生同士でも、20代の若い頃には、こうした「友達と共演」ということはなかったように思います。
年齢を重ねて、長く音楽を続けて、今風に言えば「一周二周も回って」こういう時期が訪れたことに
感慨深いものがあります。
年に一度のライブですが、やはり本番にかける演奏というのは、普通に弾けていれば良いというものでは
なく、極端に言えばその準備においては、生活の全てを練習中心に置きます。
一通り弾けるようになってからは「仕上げの練習」に入りますが、これはいくら時間があっても足りません。
でもこうしてストイックに音楽を仕上げていく過程は、自らが骨身に染みて経験していないと、
生徒さんへのレッスンや発表会へも的確なアドバイスができないと思っています。
ですから私にとって演奏することとレッスンすることは別々のことではなく、1本の道なのです。
発表会での講師演奏は、基本的にしない方針と前回ブログに書きました。その理由についてですが、
決して勿体ぶっているわけではなく、生徒さんの演奏を全身全霊で聴いているので、そこに
自分自身が演奏するというゆとりが入り込むのは、想像以上にとても難しいことだからです。
以前、講師演奏をどうしてもと希望いただいた時、本来発表会では生徒さんたちの演奏を
誰よりも聴いているべき私が、自分の演奏が最後にあったため、全く生徒さんの演奏が耳に入って
来ませんでした。無意識にそれをシャットアウトしていたと思います。自分の演奏のことで一杯一杯でした。
講師演奏は簡単な曲でいいですからと言われても、曲の難易度はこの場合あまり関係ありません。
これでは本末転倒だと大反省、自分自身にとっても1年のレッスンの「総集編」ともいえる
生徒さんたちの演奏を全く聴けていない状態ではいけないなと、心底痛感し反省したのです。
「先生の演奏する姿を生徒さんに見せてあげてください」という希望をいただいての講師演奏でしたが
そのようなわけで、自分自身の演奏も中途半端な不完全燃焼であったことは言うまでもありません。
もちろんいろんな考え方があり、講師演奏は必ずなさる先生もいらっしゃいます。
でも私は先述のように、まず第一に生徒さんの演奏に本能的に耳を塞いていたことに大反省と大後悔を
したので、今後も生徒さんの伴奏という形での演奏はしますが、自分自身の演奏はしない方向で
考えております。自分自身の「本気」は、可能な限りライブの形で続けていけこうと思います。
伝えることはなかなか難しく、誤解も生じるかもしれませんが
「演奏活動もレッスンも一本の道である」というのはこのような理由です。
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