13
5月

薔薇の季節

桜が終わると、薔薇や牡丹、芍薬、藤、等々華やかな花たちの季節ですね。自宅玄関の薔薇も、一気に開花しました。
薔薇というと、高校〜大学時代の恩師のご自宅の薔薇のアーチを思い出します。先生のご自宅のお庭にレッスン棟があり、そこへの道のりは芝生に敷石があって「芝生を絶対に踏まないように!」と先輩から教わりました。といっても現役の学生時代は、丸々7年間レッスンや試験に追われる日々で、季節の移り変わりも季節の花々も全く目に入ってきませんでした。薔薇のアーチも、お花の季節は記憶になくアーチだけ覚えているような始末です。ようやく大学の卒業試験が終わった時、本当にウソのように身体が軽くなり、一気に目の前の景色が白黒からフルカラーに変わりました。どれほど辛い7年間だったのかと、我ながら笑ってしまいますが、今振り返ると人生の中での「宝物」であることを改めて思います。素晴らしい先生方、先輩、同期、後輩との出逢い・・・学生時代の7年間に、私は音楽の厳しさ、奥深さ、そして美しさを学びました。また今、
90歳を超えてなお、現役のピアニストとしてご活躍をなさる恩師のお姿を拝見して、深く深く頭の下がる思いとともに、尊敬の念に耐えません。その恩師のさらに師である方は、日本のピアノ界の黎明期に礎を築かれた安川加寿子先生です。安川先生には直接お目にかかったことはないのですが、幼少のころ自宅にあった「クラシック全集」のLP(!)の中にピアノだけの盤があって、それが偶然にも安川先生のソロレコードでした。ベートーヴェンの月光ソナタ全楽章やショパンの子犬のワルツetc・・・今手元にないのが本当に悔やまれますが、私は安川先生のピアノを聴きながら育ったといっても過言ではないと、細いご縁であるかもしれませんが、そんな不思議も感じます。月刊誌「ショパン」5月号には、恩師や大先輩方が、安川先生の思い出について対談なさっています。よろしければぜひご高覧ください。